朝井 リョウ
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岐阜県出身の作家さんということで。通算3作品目。読みやすく、テンポよく進む文体が好みです。「倍返し」池井戸 潤さんに続いて
漫画で「鈴木先生」というのがあるのですが、それを思い出したました。こどもんたちの成長に思わず目頭が…という程純粋ではない自分も発見。さすがに擦れてきました(笑)
地味な話ではありますが、「日常」系とでもいえばいいのでしょうか。もちろんその中に様々な物語がそれぞれあるのですが。
自分ではどうしようもない、じぶんは何も悪くないのになんだか居心地が悪いこの世界。あきらめる、と言う言葉はネガティブなイメージがあるけれど、「明らかに見極める」と捉える某海洋冒険家が言っていた。
「投げ出す」ことはいけない。「今いる場所から逃げること」は何も悪くないし負い目も感じなくて良い。現実はそんなにかんたんには変わらないかもしれないけれど、それでもどん底でもその先へ。
きれいごとだけではない現実を絶妙なさじ加減できちんと表現しているのにすごく好感が持てます。そのあたりは個人差はあると思いますが個人的にはずっと読み続けたい作家さん、それも年下の方でそんな人がいるのはうれしく思います。